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生
1.次の文を読み、(1)~(6) の間に答えよ。
細胞内にある遺伝子はすべてが常に発現しているわけではなく、細胞が置かれた
環境に応じて、発現が変化する遺伝子もある。 遺伝子発現の調節はおもにmRNA
の転孝時に起こる。大腸菌では, β-ガラクトシダーゼなどラクトースの分解には
たらく酵素の遺伝子は,調節領域であるオペレーターに調節タンパク質であるリブ
レッサーが結合することで転写が抑制され, 結合しなくなることで転写が起こる。
大腸菌にはプラスミドと呼ばれる小型の環状DNA がある。 このブラスミドに緑
色蛍光タンパク質 (GFP) の遺伝子を組み込み, 大腸菌に取り込ませる実験を行っ
た。 実験に用いたプラスミドは、図1に示すようにamp" 遺伝子, lacZ 遺伝子が
含まれている。 amp" 遺伝子は抗生物質であるアンピシリンを分解する酵素の遺伝
子で,常に転写され発現している。 lacZ 遺伝子はβ-ガラクトシダーゼを合成す
る遺伝子であり、 その発現はプロモーターとオペレーターによって調節されてい
る。
プロモーター・
(-)
ampr
lacZ酵素A 切断部位
オペレーター
プロモーター
図1
オワンクラゲのDNA に 特定の塩基配列を認識して切断する酵素である
(2
a 酵素 酵素A) を作用させて, GFP 遺伝子を含む DNA 断片を切り出す。
同じ酵素 A を用いて図1のプラスミドを1ヶ所切断する。 なお、酵素 Aの切断部
位はlacZ 遺伝子の中にあり, GFP遺伝子が組み込まれると lacZ 遺伝子は分断さ
- 生 1 -
◇M33(933)
れて機能を失う。 両者を混合して, 切断点をつなぐ b という酵素を作用さ
せこの混合液と大腸菌を混ぜる。 この混合液を表1に示す添加物が含まれる培地
にそれぞれ塗布して、 大腸菌を培養したところ, 表1の結果に示すような大腸菌の
コロニーが形成された。 なお, X-gal はβ-ガラクトシダーゼが作用すると青く
なる物質である。 IPTG は lacZ 遺伝子のリプレッサーに結合して、リプレッサー
がオペレーターに結合することを阻害する物質である。
PLUS#1
培地
P
Q
R
アンビシリン
+
+
+
添加した物質
IPTG
+ あり
+
なし
X-gal
+
+
結果
白色コロニー (P-白) のみ
白色コロニー (Q-白)のみ
白色コロニー (R-白) と
青色コロニー (R-青)
(1) 下線部①について, 遺伝子発現の調節は,転写後のmRNA に対して翻訳の調
節が行われることがある。 その例として, 短い RNAがタンパク質と結合して.
mRNA を分解したり, 翻訳を阻害したりするものがある。 このような現象を何
というか、適切な語を記せ。
(2) 文中の a
と
b
に適切な語を記せ。
一生2 -
OM33 (934)