正解数をチェックしよう
次の文章を読んで、後の各問い (問一~七)に答えよ。
(注1)
なら
(注2)
奈良に、松室と云ふ所に僧ありけり。官なんどはわざとならざりけ
とぶら
れど、徳ありて用ゐられたる者になんありける。そこに、幼き児の、
あさゆふ ほけ
ことにいとほしくするありけり。 この児、朝夕法華経をよみ奉りけれ
(注3)
ば、師これを受けず、 「幼き時は学問をこそせめ。
いとげにげに
しからず などいさめられて、 一度は随ふやうなれど、ややも
したが
すれば、忍び忍びになん、これをよむ。 いかにもこころざし深き事
たれ
と見て、後には、誰も制せずなりにけり。
かかる程に、十四、五ばかりになりて、この児いづちともなく失
せぬ。師大きに驚きて、至らぬくまもなく尋ね求むれど、 更になし。
(注4)
「物の霊なんどに取られたるなめり」と云ひて、泣く泣く後の事なん
ど弔ひてやみにけり。
2
enth.
こうふくじ
(注)1 松室奈良 興福寺にある僧侶の部屋の一つ。
わざとことさらに。
3 受けず認めず。
4 ~なめりー~であるようだ。「なるめり」の変化したもの。
ちご
ほっしんしゅう
(『発心集』による)