熱を通さない断熱材でできた内側の断面積Sのシリンダー容器 (以後、容器と
呼ぶ)がある。 気体定数を R. 重力加速度の大きさを」とする。
(A) 図1のように容器を鉛直方向に固定し、熱を通す透熱材 (熱をよく通す素材)
でできた熱容量の無視できる質量Mのピストンを容器内側の中央に設置し
ピストンの上側と下側にそれぞれ 1 mol ずつ (合わせて2 mol) の単原子分子の
理想気体を入れた。 ピストンで密封された上側と下側の理想気体の圧力 体積,
温度はともに等しく, その圧力をPo,体積を Vo, 温度を To とする。 この状態
を状態1とする。
次に状態で容器の中央に設置されていたピストンの固定を外すと, ピストン
は鉛直下方にゆっくりと距離 αだけ移動して静止した (図2)。この過程におい
て, ピストンで仕切られた理想気体は常に平衡状態に達しており、ピストン上側
の理想気体の圧力は PJ, 体積は V, で, ピストン下側の理想気体の圧力は P2. 体
積は V2 であった。 この状態を状態2とする。 なお, ピストンと容器の間に摩擦
力はなく, ピストンは鉛直方向になめらかに動くことができる。 また、ピストン
と容器のあいだに隙間はなく, ピストンで仕切られた理想気体は反対側に漏れ出
ることはないものとする。