寸
次の文章を読んで、あとの各問いに答えなさい。
有名な儒学者
そのころ _お と ど
なり
偶教の教え
たま
ひろはたないふ とのの
広幡内府殿、文学を好み道を重んじ給ひければ、時の名儒多く参りつかへけり。其頃の大臣に成たる人は、
(注3)てんじやうびと一
その み
(注1)などん (注2)
納言,参議の来るにも、其身はしとねの上に居ながら対面せらる。まして殿上人などは敷居一つ隔て、同じ
首を垂れてかしこまる
このとの儒学者
所へも入らず、敬屈する事にてありしに、此殿儒士を召るるに、官位の有無をばいはず、何れも同じ所に召
(注4)
あるとき り てい
入れ、膝をすり寄せて文作り物語などし給ひける。或時里亭に詩の会を催されしに、冬の事にていと寒かり
(注5)けい し らい
まうか
SS き
いでたま
しか
しかば、家司等主の座にしとねを設たりしに、文人ども入来て後、大臣出給ひ、「此しとねを誰が敷せつるぞ。
やが
おし
老儒の前非礼也」とて、頓て手づから推のけて坐し給ひしとぞ。
(「落栗物語」による。)
(注1)納言
大納言·中納言·少納言の総称。大臣の下で国の政治を行った。
(注2) 参議
ー納言とともに政治に関わった、納言に次ぐ役職。
(注3) 殿上人天皇の日常生活の場である清涼殿に入ることを許された者。
、n でな
せいりょうでん
(注4) 里亭
JP3
内大臣の私邸。
(注5) 家司|
内大臣家の事務を行う職員。