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3 TCRの抗原認識とMHC分子
●MHC分子とTCR の構造
MHC分子は,細胞内で合成され、細
胞表面へ移動する途中で、細胞内で分解
されたタンパク質の断片(抗原ペプチド)
と結合し、複合体として細胞表面に提示
される。 抗原ペプチドには、病原体など
の異物に由来するものと、自己の成分に
由来するものとがある。抗原ペプチドが
MHC分子に結合してT細胞へ提示され
ることを抗原提示という。
抗原提示
frühe
T細胞
MHC分子-
抗原ペプチド、
TCR
TCR は, MHC分
子と抗原ペプチド
からなる複合体の
構造を認識する。
可変部
定常部
T細胞
各T細胞は1種類のTCRをもつ。 そ
れぞれの細胞のTCR は , 可変部の構
造が異なっており、多様性がある (
p.138)。 MHC分子によって提示される
多様な抗原ペプチドは、それぞれ別の種
類のTCRによって認識される。
構造
② MHC分子の種類
MHC分子にはクラスIとクラスⅡの2種類があり、 発現細胞と提示するT細胞が異なる。
MHCクラスⅡ分子
MHCクラス1分子
T細胞が
認識する領域
機能
生物
正常細胞
MHC (major histocompatibility complex; 主要組織適合遺伝子複合体) 分子は,
細胞がT細胞に対して抗原の情報を伝える際に用いるタンパク質である。 T細胞は,
T細胞受容体 (TCRT cell receptor) によってその情報を認識する。
抗原ペプチド
上面から見た分子構造
fot
抗原ペプチドが入る溝
クラスⅠ分子の溝は両端が閉じてお
り 結合するアミノ酸の長さは,お
よそ9 アミノ酸である。
自己成分
のペプチド
> MHCクラス Ⅰ分子活性化
病原体のペプチド
キラーT細胞が関わる情報伝達に用いられる。 機能
貪食した病原体の
ペプチドを提示
感染細胞 攻撃 破壊
細胞内の病原体の
ペプチドを提示
構造
キラーT細胞
クラスⅠ分子を発現する細胞
● ほぼすべての細胞
T細胞が
認識する領域
抗原ペプチド
TE
樹状細胞
上面から見た分子構造
病原体
(抗原)
抗原ペプチドが入る溝
FIT
クラスⅡI分子の溝の両端は開いてお
り, 結合するアミノ酸の長さは、 お
よそ20 アミノ酸である。
ヘルパーT細胞が関わる情報伝達に用いられる。
BCRに結合した抗原を
取り込み、 提示する。
このため, B細胞を活
性化するヘルパーT細
胞は、同じ抗原を認識
したものに限られる。
-MHC クラスⅡ分子
活性化
市
ヘルパーT細胞
クラスⅡ分子を発現する細胞
●樹状細胞やB細胞などの一部の免疫細胞
B細胞
活性化
T細胞に抗原提示し、活性化させる細胞を抗原提示細胞という。 樹状細胞は、最も主要で強力な抗原提示細胞で、
クラスⅠ およびクラスⅡのMHC分子をもち, キラーT細胞とヘルパーT細胞の両方を活性化する。
細胞の成熟過程では、自己にとって不都合なものが排除される。 選択を経て残ったものは、二