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オーキシンによる頂芽優勢では、どの程度下までオーキシンは下降するのでしょうか?

Answers

✨ Jawaban Terbaik ✨

頂芽が成長している限り、基部への移動はすすみますので、
理屈上では、地上部の最下部まで移動することになります。

りのぺち

そもそもなんでこの質問が浮かんだかと言うと、頂芽があり続ける限り植物は横に成長出来ないのか疑問に思い先生に質問したところ、オーキシンが下まで届かなくなるから下の方から枝や葉っぱが成長して円錐のような形になると言われたので、どれくらいの距離下降するのか知りたかったからです。
Jokerさんの回答と先生の回答が矛盾していて、どっちが正しいか私には分からないのですが…………
詳しく教えていただきたいです。

Joker

なるほど、経緯はわかりました。
先程、理屈上では、ということで解答しましたが、もう少し現実的に解答しますね。

頂芽優勢や、屈性のように、他の部分の成長が相互に影響し合う現象を、成長相関と呼びます。、
頂芽優勢は、その典型ですね。
で、頂芽が何らかの外的な要因で成長が阻害されると、側芽の成長が活性化します。

次に、オーキシンの輸送に関わる分子について説明しますね。
オーキシンは、細胞膜にあるPINという輸送体から排出され、
同じく、細胞膜に有るAUXという輸送体から取り込まれます。
細胞を縦長に見た場合、細胞の底側にPINが存在し、
天井側にAUXが存在するので、オーキシンは、一方にしか輸送されない仕組みになっています。
また、サイトカイニンという植物ホルモンは、オーキシンの側芽抑制(頂芽優勢)を解除し、
側芽の成長を活性化させますが、
頂芽が成長している場合、上記のような輸送の仕組みにより、
実は、根までオーキシンが輸送され、根におけるサイトカイニンの合成を抑制し、
本来、道管を通って側芽に運ばれるべきサイトカイニンが減ることが、側芽抑制になっているという
仮説もあります。
まだ仮説の段階です。

最後に、遺伝子レベルでの発現について少し説明しますね。
オーキシンは、細胞内で過剰になると、分解されることが分かってきています。
オーキシンの受容体が、細胞内に存在し、その受容体と結合することで、
オーキシンによって調節されている遺伝子が発現します。
一方、オーキシンと、受容体との複合体は、さらに別のタンパク質もくっついて、その後ユビキチン化され、
プロテアソームで分解されます。(ユビキチンープロテアソーム系と呼ばれるメカニズムです)。

以上を整理すると、
特に外的な要因による頂芽の成長阻害がなければ、
オーキシンは合成され、基部に向かって輸送されつづけるが、
一定以上の濃度になると、分解される。
これらが、他のホルモンとの協調によってバランスがとられている。

という考え方が現実的かと思います。

先生のおっしゃった下まで届かなくなる、
というのは、ある意味正しいのかもしれませんが、
まず、植物ホルモンの一般的な定義として、
「植物自身が作り出し、微量で作用する生理活性物質・情報伝達物質」
というものがありますので、
濃度的な問題で、下まで届かない、という趣旨であれば、誤解されているのかもしれません。

長くなってしまい、すいません。

質問があれば、遠慮なく聞いてくださいね。

りのぺち

物質があるないと言うより、濃度に影響を受けるんですね。サイトカイニンは植物内を巡回せず、側芽で作られてそのまま成長に関与するものだと思っていました。丁寧な解答ありがとうございます。授業ではそこまで深く教わらなかったので理解が深まりました。
そこで、他の疑問が浮かんだのですが、頂芽優勢が起こるのは何故ですか?また、側芽が成長するとその枝に対しても頂芽ができるのでしょうか?それとも一個体には一つしか頂芽は存在しないものですか?

Joker

返信がおそくなりすいません。
それにしても、疑問に対する熱心な探究心は素晴らしいですね。
自分も、一研究者として刺激を受けております。
(こういう、植物生理学は、自分の専門ではなく、学部レベルで学んだ内容での回答になってしまいます。その点、ご容赦下さい。)

さて、オーキシンの最適濃度は、器官によって異なり、
根<芽<茎、の順に高くなります。
芽と根が出たばかりであっても、
根が正の重力屈性を示すのに対し、芽が負の重力屈性を示すのは、
地面側のほぼ同濃度と考えられるオーキシンに対して、根では成長阻害が起こり(根には濃すぎるため)
芽では成長促進が起こるためです。
このように、濃度によって成長の促進も阻害もありえます。

頂芽優勢がなぜ起こるのか、という点ですが、
自分が学部時代に学んだ重要なことの1つに、
adaptive(適応的)
というものがあります。
生命現象は、おしなべて、adaptive、すなわちその種にとって有利に作用しているものです。
その解明のアプローチとして、
why theory(なぜ、そのようになるのか)
how theory(どのようにして、そうなるのか)
の2面から考えるよう指導されました。

この頂芽優性ですが、上に高く伸びることは、
例えば、日光をより自分が獲得するのに有効です。
そういう意味で、adaptiveであると考えられます。
これはwhy theoryでのアプローチです。
how theoryでのアプローチは前回の回答でメカニズムの説明をしていると思うのですが、
大丈夫でしょうか。

次に、側芽が成長した場合について。
ここからは、あくまで私見ですので、ご了承下さい。
側芽が成長すると、元の頂芽と成長した側芽、いずれの先端からもオーキシンが供給されますが、
元の頂芽も、成長した側芽も、そのまま伸長していくことが予想されます。
これは、頂芽優勢が、あくまで側芽、すなわち「芽」に対して、
成長を阻害する程度のオーキシンが供給されているために起こっている現象で、
芽が成長してしまえば、そこはすでに芽ではなく、茎となるので、
頂芽からのオーキシン供給濃度での抑制効果は見込めないと思われるからです。
もちろん、芽の段階であれば、そのまま抑制されると思います。

植物が動物と大きく異る点の1つが、植物では分裂できる部分が限られている、
というものです。
植物では、芽・根の成長点と、形成層以外では、原則体細胞分裂が起こりません。
あとは、伸長による成長のみです。
その限られた分裂箇所の1つである側芽に影響を与えているのが頂芽優性であって、
一旦、側芽が成長してしまえば、元の頂芽からのオーキシンは、成長した側芽側には、
メカニズム上、移動はできません。(AUXとPINの配置が原因です)
ただ、植物細胞は、原形質連絡で細胞同士がつながっているといっても良いので、
原形質連絡を通してのオーキシンの移動はありえるかもしれませんが、
PIN、AUXによる輸送の方が圧倒的に多いと予測できますので、
いわば、2つの頂芽が存在している状態になっていくと思われます。

これをadaptiveかどうか、という点で考えると、
日光の競争においては、有効かもしれませんが、
重心の点から見れば、不利になるようにも考えられます。
実際には、こういう現象は怒らないので、あくまで仮説としての検討にすぎませんが。

ただ、こういう成長のアンバランスに対して、
修正するメカニズムが働く可能性は多いにあると思います。
害虫による食害や、強風などによる毀損、本体への接触などが発生した場合、
ジャスモン酸やエチレンなどが活性化することが知られていますので、
他の植物ホルモンによる調整により、
どちらか片方のみが頂芽として成長し、他方は、あまり大きく成長しない可能性もあります。

色々書きましたが、要は、どうなるかわからない。
というのが、正直なところです。
もし、この分野に興味を持たれたのでしたら、学校内の植物などで、
実験してみるのも良いかもしれません。
頂芽を一時的に切断し、頂芽からの分泌物を寒天や綿などに含ませておいて、
一つの側芽以外には、それらを与えることで抑制し、
側芽の成長が見られた段階で、
切断した頂芽を、元に戻し、テープなどで補助しつつ繋ぎ、様子をみる、
といったような方法が、可能かもしれません。
もし実際に行った場合、ぜひ、結果を教えて欲しいと思います。

長文、失礼しました。
(ちゃんと回答できているでしょうか。不十分な点があれば、またご質問下さい!)

りのぺち

たくさん枝分かれした木の枝の先端にはどれも芽がついてる気がするのですが、その枝分かれした方の枝の先端の芽は頂芽という名前ではない(頂芽の働きをしない)ということですか?
だとすると、その植物のたった一つの頂芽をどうやって見つけるのでしょう?
というか、私がそもそも誤解していたのかもしれないのですが、側芽は必ずしも葉っぱに成長するものですか?(家にあるアサガオを観察したら枝分かれしてる茎は全て葉っぱになっていました)そうだとしたら1個体にひとつの頂芽しか見つけられませんよね。

今回も丁寧な回答ありがとうございます。高校の授業では、歴史上分かってきた事実を教わりそれを覚えてるかテストするだけの勉強になってしまいますが、大学だとその知識を使って未知の問題を解決するために考えるということが出来るのはとても良いですね。知らないことを自分の知識や思考を通して解明していくのはとても楽しそうです。まだ高校生ですが、大学で学ぶのが楽しみになりました。
実験の詳細など教えて下さりありがとうございます!実験したいのは山々なんですが、今高3で受験も近いのでやる時間が取れないかもしれないです。。もし実験出来たら結果をお伝え出来たらと思います!

Joker

受験勉強、大変ですね。
大学では知らないこと、未知なことにチャレンジする機会がたくさんあります。
授業の質問でも、「答えられないような質問をしてほしい」と、多くの教官が言っていました。

さて、頂芽ですが、
地上部の枝分かれは、まず側芽がつくられ、全体として成長します。
その中で、トップに位置するものが頂芽となります。
そういう意味では、植物全体の設計図は、初期の段階に決定しているとも言えます。
頂芽と側芽の成長のバランスは、以前、回答したように、
オーキシンとサイトカイニンとのバランスによると考えられていますが、
枝分かれ以降、その枝の途中に芽をつけるものも、もちろんあります。
それは、あくまで側芽から成長し、そこにさらに、芽ができた、
と理解してもらえらばよいかと思います。

たとえば、桜の木などは、枝がわかれていますが、
各枝それぞれに、花が咲き、葉が出てきます。
花になる芽を花芽(かが)と呼び、葉になる芽を葉芽(葉芽)と呼びます。
このように、各枝にも多くの芽が存在します。

オーキシンの移動で考えれば、枝分かれした側芽にある芽は、頂芽の影響は受けませんが、
枝分かれした先頭から合成されるオーキシンの影響は、その枝に影響を与えると思われます。

1990年代なかばごろに、オーキシンやサイトカイニン以外で、
枝分かれに関係するホルモンの存在が示唆されました。
現在では、それはストリゴラクトンであると確認されています。
ストリゴラクトン自体は、もっと早期に発見されていましたが、
その作用に、枝分かれに関するものが見つかったのは最近のことなのです。
ストリゴラクトンは、枝分かれの抑制に働きます。
これが分かったのは、2008年のことですから、ほんとに最近のことですね。
ですので、まだ未解明な部分も多いのですが、
土壌中に無機塩類や窒素源が少ないと、ストリゴラクトンが増加することや、
オーキシンにより、ストリゴラクトンの発現が誘導されていることは分かっています。

こういった枝分かれに関するホルモンを、農業や園芸などで応用していく道も研究されているようです。
(農学部ではないので、あまりわからないのですが、聞きかじりです・・・)

これ!といった、明確な回答ができず心苦しいのですが、
逆に、生物は未知なことだらけだな、と興味、感心を持って頂けたら嬉しく思います。
(自分は、理学部出身ですので、興味・感心のみで研究をすすめるタイプです。
実用化などは、農学部や薬学部、医学部で考えれば良い、などと偉そうにしています。)

りのぺち

Jokerさんに質問するのと同時に先生にも質問をしていたのですが、先生は枝分かれし成長した枝の先端の芽も頂芽だと言っていました。しかし、どちらにせよその芽も頂芽と同じようにオーキシンによって側芽の成長を抑制しているということですよね。
枝分かれに関係するホルモンは教わってないので初耳です!枝分かれというのは側芽が出来る位置、みたいなものなのでしょうか?(専門分野では無いのに質問を出してしまいすみません)

何度も丁寧な回答を下さりありがとうございます!!!
まだまだ植物の範囲で分かってないことがあることが知れてとても興味が湧きました!実際、私の志望学部は植物関係では無いのですが、Jokerさんのように他学部の人から聞きかじるだけでも出来たらいいなと思います。

Joker

先生も、これほど熱心に質問されると、やりがいを感じていらっしゃることだと思います。

先生がおっしゃるように、枝分かれした先の芽を頂芽と呼ぶことは問題無いと思います。
頂芽は、そもそもapical budの和訳であり、apicalとは、(基部に対して)先端という意味です。
身体にたとえると、頭のてっぺんも、手の指先も、どちらもapicalなわけです。
ちなみに、側芽は、lateral budの和訳で、lateralは横、という意味になります。

ただ、我々の身体にも背骨があって、基本となる縦のラインがあるように、
植物にも同様なもの、あるいは概念があります。
それを、主軸と呼びます。
一応、主軸の先端にあるものを頂芽と呼んでいます。

さて、りのぺちさんは、シュート、ファイトマー、という用語はご存知でしょうか。
植物の構成単位なのですが、参考に図を添付しておきますね。

なぜこの用語を紹介したのかといいますと、
枝分かれというのは、正確にはシュート分岐という呼ばれ方をされています。
比較的最近の論文で、頂芽優勢をまとめたレビューのようなものがありますので、
ご紹介させていただきますね。

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5671643/

オープンアクセスですので、無料で全文読めます。英語ですが。
グーグルクロムなどのブラウザで、翻訳機能を使えば、
日本語でも、ある程度読めるのでは無いかと思います。

1つ気になった点だけ最後にコメントしますね。
オーキシンによる側芽の抑制ですが、
これは、オーキシンが直接側芽を抑制しているのではなく、
側芽の含まれる茎(ファイトマー)におけるサイトカイニンの合成の阻害により、
側芽の成長が抑えられ、頂芽優性が維持されています。

自分の説明を読み返していると、誤解を与えるような表現になっているような気がしましたので、
改めて、回答させて頂きました。

まだまだ疑問点もあるかと思います。
回答できる範囲で回答させていただきますので、
遠慮なく質問して下さいね。

りのぺち

返信がすごく遅くなってしまってすみません、
論文まで紹介してくださりありがとうございます!頑張って読もうとしたんですが、文章中の用語もわからないものが多くあまり内容が掴めませんでした、、、
もう植物の授業は終わってしまったのですが、Jokerさんのおかげでこの分野を少し深く学べたように思います!大学では英語の論文を読むことになることも改めて知れたのでもっと英語やらなきゃと思います😅
何度も質問に答えて頂きありがとうございました‼︎

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