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では、解説を始めます。
在庫の評価方法には、先入先出法と移動平均法の二つがあります。これらは、同じ商品を異なる単価で仕入れた場合に、どの単価を基準にして出庫原価や期末在庫を計算するかを定める方法です。以下に、それぞれの考え方を比較しながら説明いたします。
先入先出法とは、最初に仕入れた商品から順に出庫するとみなす方法です。
たとえば、最初に100円で100個、次に120円で100個仕入れたとします。その後150個を出庫する場合、最初の100個は100円、残りの50個は120円で計算します。この場合、出庫原価は16,000円(=100×100+50×120)となり、残高は50個×120円=6,000円となります。
この方法は、古い在庫から順に販売するという現実の物理的な流れに近い点が特徴です。ただし、仕入単価が頻繁に変動する場合、どの在庫がどの単価なのかを管理するのが複雑になるという難点があります。
移動平均法は、仕入があるたびに在庫全体の平均単価を再計算して、その平均単価をもとに出庫原価を求める方法です。
同じく100円で100個、120円で100個仕入れた場合、仕入直後の平均単価は(100×100+100×120)÷200=110円となります。その後150個を出庫する際は、この110円を使って出庫原価を求めます。したがって、出庫原価は16,500円(=150×110)、残高は50個×110円=5,500円となります。
この方法では、仕入のたびに単価を再計算する必要がありますが、在庫管理が滑らかで、帳簿上の処理が簡潔に済むという利点があります。
まとめると、先入先出法は「古いものから出す」という順序重視の方法であり、物価が上昇すると出庫原価が低めに、利益が大きめに計上される傾向があります。一方、移動平均法は「その時点での在庫全体の平均的な価値」で評価する方法であり、価格変動の影響を均して計上することができます。どちらの方法も正しい会計処理ですが、目的や状況に応じて使い分けることが重要です。
ここからは、令和○年9月の横浜商店の取引を移動平均法で商品有高帳に記入する場合について説明していきます。
各日の取引の説明と、計算式の説明は分けてあります。
各日の取引
1日 残高14万4000円を前月より繰り越しています。
6日 商品8万1000円分を払い出します。払い出しで平均単価は変わらないため、払い出しの時に意識する必要はありません。残高欄の数量だけが減って300個になり、金額は9万円になります。
8日 単価350円の商品を仕入れます。仕入(受入)の時に平均単価が変わります。残高欄の数量は500個、平均単価320円となり、金額は16万円です。
13日 払い出しの数量のみに着目すると360個となっています。引き算すると140個となり、単価はそのままで金額を計算すると、4万4800円となります。
15日 問題文に返品と書いてありますが、商品有高帳では気にせず、「単価○円の商品が○個入ってきたか」を有高帳に記入します。単価460円の商品を50個仕入れました。このとき、また平均単価が変わります。残高を計算すると、数量190個、平均単価356.84…≒357円(小数第1位四捨五入)となります。
25日 単価360円の商品を210個仕入れます。残高を計算すると数量が400個、平均単価358.5≒359円(小数第1位四捨五入)となります。
28日 商品を150個払い出します。残高の数量が250個、平均単価は変化なし、金額は8万9625円となります。
次月繰越 「9月中に受け入れた数量の合計」と、「払い出した数量の合計に期末の在庫数を加えた数字」を計算するとどちらも940個となります。
各日の計算(受入と払出の説明は単純に単価に数量を掛けるだけなので省略します。)
1日 計算なし
6日 払出数量180を引いて、金額を更新。(金額の計算は掛けられる数が数量で、掛ける数が単価です。)
数量:480-180 = 300
金額:300×300 = 90,000
8日 受入数量200を足して、平均単価と金額を更新。
数量:300+200 = 500
6日の残高金額:300×300 = 90,000
8日の受入金額:200×350 = 70,000
平均単価:(90000+70000)÷500 = 320
金額:500×320 = 160,000
13日 払出数量360を引いて、金額を更新。
数量:500-360 = 140
金額:140×320 = 44,800
15日 受入数量50を足して、平均単価と金額を更新。
数量:140+50 = 190
13日の残高金額:44800
15日の受入金額:23000
合計:44800+23000 = 67,800
平均単価:67800÷190 = 356.842
金額:67800÷190×190 = 67,800
25日 受入数量210を足して、平均単価と金額を更新。
数量:190+210 = 400
15日の残高金額:67800
25日の受入金額:75600
合計:67800+75600 = 143,400
平均単価:143400÷400 = 358.5
金額:143400÷400×400 = 143,400
28日 払出数量150を引いて、金額を更新。
数量:400-150 = 250
金額:250×(143400÷400) = 89,625
次月繰越 計算なし
小数点の扱いについて
問題文で小数をどのように扱うか指示があればそれに従ってください。
私はExcelで計算しました。Excelは計算結果を画面に表示する時に四捨五入してありますが、計算結果として小数を切り捨てたり、切り上げたりしているわけではないので、残高は先入先出法の金額と同じになります。
もし計算結果自体も切り捨て・切り上げによって書き変えていたら、9月15日の残高の金額は190に357を掛けて6万7830円となり、誤差が出てしまいます。理由を説明します。
15日の平均単価は、4万4800に2万3000を足して6万7800になり、ここまでは整数です。これを15日の残高の数量190で割るのですが、ここで割り切れなければ、商が整数ではなくなります。
割り算の結果、356.
842105263157894736…という循環小数が出ました。
Excelはこれを、小数第1位を四捨五入して357と表示しています。
解説は以上です。

