次の文章を読み、(ア)には分子式,
3
には構造式
(1)~(ヶ)
)
(ス)には適切な語句,サ)には式、
(セ) には有効数字2桁の数 HO-CH2-CH=C-C-OH
(シ)
値を入れよ。 なお、化合物の構造式は,例にならって書け。
(1)炭素,水素, 酸素だけからなり,同一の分子式をもつ芳香族化合物A, B, C 構造式の
の混合物がある。 化合物 A, B, Cは分子量 200以下であり,いずれも不斉炭素
原子をもたない。 この混合物 6.70mgを完全に燃焼させたところ、二酸化炭素
19.80mgと水 4.50mgが生じた。
(i) 化合物 A, B, Cの分子式は(ア)である。
H2C
H2C-
コハク酸無水物
(無水コハク酸)
(ii) コハク酸無水物(無水コハク酸)は,ピリジン(触媒として働く)の存在下,ヒ
ドロキシ基をもつ化合物と反応して開環し,エステルとなる。 化合物 A, B,
Cの混合物をジエチルエーテルに溶かし,ピリジンの存在下,十分な量のコバ
ク酸無水物と反応させた。 この反応液を炭酸水素ナトリウム水溶液とふり混ぜて静置したところ,ジェ
チルエーテル層から化合物Aが得られた。 また水層に酸を加えてpHを1とした後, ジエチルエーテル
とふり混ぜて静置したところ、ジエチルエーテル層から化合物DとEの混合物が得られた。
() 化合物A,Cにはパラ位に置換基をもつ二置換のベンゼン環が存在することがわかった。
(iv) 化合物Aに水酸化ナトリウム水溶液とヨウ素を加えて加熱したところ、ヨードホルム (CHI3)の沈殿
が生じた。 これらのことから,化合物Aの構造は(イ)であることがわかる。 この反応では,化合物 A
は不安定な中間体となった後, 炭素-炭素結合が切断され,(ウ)のナトリウム塩とヨードホルムが生
成したと考えられる。
(v) 化合物DとEの混合物に水酸化ナトリウム水溶液を反応させて、完全に加水分解した。この溶液をジ
エチルエーテルとふり混ぜて静置したところ, ジエチルエーテル層から化合物Bが得られた。 次に,こ
の水層に酸を加えてpHを7とした後, ジエチルエーテルとふり混ぜて静置したところ, ジエチルエー
テル層から化合物 C が得られた。
(vi) 化合物BおよびCそれぞれに臭素を反応させたところ,いずれからも2個の不斉炭素原子をもつ化
合物が得られた。 以上のことから化合物Bの構造は(エ),化合物の構造は(オ)であることがわ
かる。
(vii) 化合物Bから生成した化合物Dの構造は(カ)である。
(2)・・・正四面体 オ... 2.00×102 カ・・・環
キ・・・・2.64 × 102
(カ) 無水コハク酸とR-OH の構造をもつ化合物はエ
ステルをつくる。
・・・A】 ・・・ 0.143 コ・・・ [AI (OH)]
H2C-CH 2
サ・・・ LizO
I
[3]
[Ⅱ (芳香族化合物, アミノ酸の電離平
衡)
0=C
0
研究 (1) (ア) 6.70mg 中の
CC=O + R-OH
(注)このエステ
ルはカルボキ
シ基ももつ↓
→R-O-C-CH2CH2 C-OH
R-O-C-CH-CH-C
等電点では, [X]=[Z]であることから
K1XK2 = [H+]2
炭素原子 19.80 ×
12.0
= 5.40 (mg)
44.0
(2)(4), (シ) K1 =
[Y] [H+]
K₂=
[Z] [H+]
[X]
[Y]
水素原子 4.50 ×
2.00
18.0
= 0.50 (mg)
酸素原子 6.70-(5.40+0.50)=0.80 (mg)
原子の物質量比は,
等電点は 6.0である。
5.40
0.50 0.80
C:HO=
:
12.0 1.00 16.0
9:10:1
分子式は, (CH10O), 分子量が200以下であること
から, n = 1, 分子式は CeHioOである。
(イ)(ウ) Aは無水コハク酸と反応しないことからアル
コールではなく, ヨードホルム反応陽性なので,アセ
チル基をもつ。 さらにベンゼンのパラ二置換体である
ことから構造が決まる。 また, ヨードホルム反応によ
って、炭素数の一つ少ないカルボン酸の塩になる。
[H+]=vK,K2=√40×10-3×2.5×10-10
=1.0×10-6 (mol/L)
(ス),(セ) [X] = [Y] では,
[H+] =K=4.0×10-3 (mol/L)
pH=-logio (22×10-3)=3-2log10 2
=2.40
解答(1)…CHO イ・・・CH C-CH
0
...CH=CH-CH2-OH
(注) エとオはエノール形
になる構造を除くこと。
CH3C-OH
…HOCH=CH-CH
CH=CH-CH2-0-C-CH2-CH2-C-OH
CH3 <
-C-CH
ヨードホルム反応を示す構造あり
・・・
0
ここが CHI(ヨードホルム)へ変化
0
0
CHC-C
(2)キHN-CH2-C-OH
-C-ONa
0
ヨードホルム反応後の構造
0
ク・・・H3N-CH2-C-O-
0
ケ・・・H2N-CH2-C-O-
I
・・・双性
シ・・・ 6.0
サ・・・KiKz
ス・・・緩衝 セ・・・2.4
(エ)(オ) Dは無水コハク酸とBから生じたエステルで
ある((vi)より)ので,Eは無水コハク酸とCから生じた
エステルである。 無水コハク酸とエステルをつくるこ
とから, B, Cともにヒドロキシ基をもつ。Dのけん
化のあと、Bはエーテル層に移行することから,酸性
この官能基をもたず, したがってアルコールである。 ま
また、臭素付加によって新たに2個の不斉炭素原子が生
じることから,Bの構造が特定できる。
CはNaOHと塩をつくって水層に移行することか
フェノール類である。 これも臭素付加によって新た
2個の不斉炭素原子が生じることから構造が決まる。
(参考) マレイン酸を中心とした
合否のポイント 1〔2)のアマルガム電極を用いた電気分
解はあまり見かけない問題であったが,それ以外は標準レ
ベルの設問であった。 また、 計算も煩雑なものがなく、 合
格点は上昇したものと見られる。 酸無水物からのエステル
この合成や、今年度は特にウェイトの大きかった平衡の理解
が合否のポイントになったであろう。
010
マレイン酸
無水マレイン酸 O
反応関連図
脱水
-H2O
H.
COOH
脱水 (加熱)
H
C
-H2O
リンゴ酸
HO_CH-COOH
H
COOH
コハク酸
付加
付加
H
CH2-COOH
+H2O
フマル酸
+H2
HOOC
H
CH2-COOH
CH2-COOH
脱水
-H2O
H
COOH
H2C
脱水 (加熱)
H2C.
H2O
無水コハク酸
C₆H₅-CH₂-CH=CH-OHはエノール形ってことですか?