問 2.1 例1 (b), (c) で R" に定義された各種の距離 dp : R" × R” →
[0,∞)
(p = 1,2,...,∞) において, R” の点列 πm:= (x(m),x(m),...,xmm))∈R(m=
R"
2
1,2,・・・) が, 点æ= (π1, 2,...,πn) ∈R" に収束するためには,各k ∈ {1, 2,...,n}
に対し
(m) →πk (m→8) となることが必要十分であることを示せ.
2.1 距離空間
2.1 距離空間
世界) であり、 2つの点æ:= (1,2,3),y=(y1,y2,y3) ∈R の間の 「距離」
我々の生活空間は、3次元空間 (位置が、高さを指定して表現できる
といえば,通常, ピタゴラス (Pythagoras, B.C.580~500頃) の定理から決ま
るユークリッド距離 (21-3/1)2+(x2-y2)2+(x3-y3)2 をさす。 集合 3
の任意の2点間に遍くユークリッド距離が定義されている
以下で紹介する「距離空間」は集合に所属する2点間の近さや点列の極限を論じ
るための舞台設定であり, 距離空間における2点間の 「距離」 は我々人間にお馴染み
の「ユークリッド距離」 に限定されない. むしろユークリッド距離がもつ「最小限の
重要な3性質」を予め抽出しておき, これらを満足するすべての「2点間の近さの評
価尺度」に「距離」と名乗る資格を与える立場をとっている. 応用によってはユー
クリッド距離以外の距離がより自然な尺度を与えるからである. また, これらの
多様な「距離」をまとめて議論することにより,「2点間の近さ」の評価尺度が変
わるたびに振り出しにもどって類似の議論を展開する無駄を省くことができる。
定義 2.1 (距離空間点距離)
集合 X の任意の元x,y∈Xに対し, 実数 d(x,y) が対応し、条件:
(D1) d(x,y)≥0 ただし, d(x,y)=0⇔r=y
(D2) d(x,y)=dy,x) (対称性)
(D3) d (x,2) ≤d(x,y) +d(y,z) (三角不等式)
がすべてのx,y,ze Xに対して成立するとき, Xは距離空間 (metric
space) であるといい, Xの元を点 (point), d(x,y) を点πyの (間の)
距離 (metric) と呼ぶ. X と d の対応を明確に表現するには距離空間を
(X,d) のようにペアで表せばよい.
例1 (距離空間の例) (a) 実数全体の集合 R で点 x,y ∈ R の距離を
d(x,y) = |x-y|と定義することにより (R, d) は距離空間となる. 有理数全
体の集合 Qで点z,y∈Qの距離をd(x,y) = |æ-y|と定義することにより
(Q, d) も距離空間となる. 距離空間 (Q, d) には (R, d) と同じ距離が定義され
ているのであるが, 集合が有理数に限定されていることに注意されたい.
(b) N個の実数を順番に並べてできるすべてのベクトルからなる集合 RN で
1)距離は,X の直積集合 XXX から非負の実数値への関数 d:XxX→[0,∞)であり,(D1)~(D3)
を満たすものである.
17
は、点王(π1,...,N), Y = (3/1... UN)∈RN の距離を d2(x,y)=
N(πi-yi)と定義することにより (Rd2) は距離空間となる. 実は,
正整数p を任意に選び, R で点æ (第1..., v),y= (71,...,n)
V2 i=1
RN の距離を dp(x,y)=
Pile と定義してもIP(N)=
(R, dp) は距離空間となる (例題 2.1 参照)。
(c) RNで点=(1,...,,,...,x) ∈ RNの距離を
de(x,y)= max{|x1-y1|,|æ2 -y2|,... |-|}と定義しても
1° (N) = (R^,do) は距離空間となる (例題 2.1 参照).
(d) 実数p (1) に対して,条件 | P∞ を満足するすべての実数列
(i)からなる集合をIP (“エルピー”と呼ぶ) と記す.P の任意の
点= (mi)1,y=(yi)ρ1 に対して, æ-y:= (i-yi) EIPとなり,
dp(x,y) = xi-yil
i=1
1/p
が定義できる. (UP,dp) は距離空間となる (例題 2.1 参照) しばしば,距離空
間 (UP, dp) を単にIP と記す.
(e)条件 supervil < ∞を満足するすべての実数列æ= (i)からな
集合を1% (“エル無限大” と呼ぶ) と記す. 1 の任意の点=(i) = 1,
y=(yi) に対して, æ-y:= (πi-yi)=1100 となり,
do (x,y)= sup|ri - yi|
iЄN
が定義できる. (1, d∞) は距離空間となる (例題2.1参照). しばしば, 距離
空間 (1, dv) を単に 1 と記す.
(f) 閉区間 [a,b] (CR) (ただし, a<b) で定義される実数値連続関数全体の集
合を C[a, b] とし, 任意の f,g∈C[a, 6] に対して,
1/p
dp (f,g):= ("15 (2)
\f(x) - g(x)|P dx
(p ≥ 1)
(2.1)
(積分はリーマン (Riemann, 1826〜1866) 積分による) を定義するとき,
(Cla, b, dp) は距離空間となる (例題 2.4 参照).
(g) (f) の集合 C[a, b] について, 任意の f,g∈ C [a, b] に対して,
dmax(f,g):= sup f(x) - g(x)|
xЄ[a,b]
を定義するとき2), (Cla, b, dmax) は距離空間となる (例題 2.9 参照).
2) dmax の定義に現れた 「sup」 は, 「max」に置き換えられる(定理 2.5 参照).