問3
生物の神経連絡では、軸索を通る【伝導】とシナプス間で起こる神経伝達物質を用いた【伝達】の2つがあります。
【伝導】は刺激を加えた点から両方向に伝わりますが、【伝達】は分泌側と受容側があるため、1方向にしか伝わりません。
従って、↓の点を含む軸索全体とその神経細胞がシナプスを伸ばしている次の神経細胞までが答えとなり、fとなります。
問4
今回は普通の問題と異なり、オシロスコープのどちらも細胞外の電極を見ていることがポイントです。
この問題ではR側を基準にL側の電位を見ているので、右に比べて左がどうなっているかのグラフを選ぶことになりますね。
Sが電池になっているので、どちら方向に刺激が進んだのか…と困ってしまいそうですが、問題文に「単一刺激をして」とあるので、問3の↓と同じと思って大丈夫です。
A
Aについて見てみましょう。Sからの伝導(神経興奮)は軸索の脱分極(軸索細胞内が細胞外よりも電位が+の状態になる)として伝わります。しかし、今回はオシロスコープが細胞外にあるので、細胞内が+になるということは、基準よりも細胞外が相対的に-になるということです。したがって、細胞外ではA(+,+)→A(+,-)→A(-,+)となります。解説の図で、縦にプラスマイナスが並んでいるところ、線の下(細胞内)だけを見てみると、いつもと同じではありませんか?細胞外は相対的な値なので、その逆を描けばよいので解説の図が出来上がります。右が基準で左の電位を測っているので、0→+→-と変化するグラフdを選びます。
B
BはAと全く逆方向に伝導するので、グラフdの逆、グラフe
C
シナプス同士(出口同士)をくっつけても神経の伝達は起こりません。CにSからの刺激を伝えたいのならR側にあるであろう細胞体を「シナプス部」の位置に持ってこなければいけませんね。(ちょうど問3の図と左右逆のようなイメージです)
よって、Cに伝達はされないので変化のないbです。
静止電位となるはずならcでは?と思うかもしれませんが、確かに、いつものグラフではそうなっています。でも、教科書のあのグラフは「オシロスコープの基準点を細胞外に、計測点を細胞内に置いたときのグラフ」です。今回はどちらも細胞外にあるので、グラフはbが正解です。
いつも見ているグラフとは違う状況を設定して、電位変化を本質的に理解しているか問うなかなか手ごわい問題でしたね。神経関連では、脱分極・過分極時のチャネル・ポンプの動き(どれが開いてどれが閉じるか)や、神経筋を用いてキモグラフを描き、神経伝導速度を計算させるといった問題がよく出題されます。合わせて復習してみてください。