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サルでもわかる解析関数(その8) モレラの定理 上の五つの条件(前回参照)から、いろいろな定理を導くことができる。 それらのうち、 A E はコーシーの積分定理の一型である。この場合、関数の定義域は近傍N(a)に 限られるけれども、積分の道に関する制限はなくなることに注意しよう。 この実理の逆 E→A はモレラの定理とよばれる。しかし、先の証明からわかるように、この実理については、 仮定を大幅に緩和することができる。すなわち: 定理9- 近傍N(a)において、関数f(z)は (j) 連続であって, (TT) 座標軸に平行な辺からなる方形の風Cに沿って、つねに Sef(x)dx=1 が成り立つとすれば、f(z)はN(a)において正則である。 鏡像の原理(エ) あとで必要となるシュワルツの鏡像の原理を、この定理から導いておこう。 まず、Z平面の実軸に関して対称な開円板Dを考え これを次の三つの部分に分ける: D+=Dn{zlImz70} I=Dn{zInz=0 Z D=Dn{Inz<o} いま, Dt UI において定義された連続関数f(z)が (1) D+ において正則であり, () Iにおいて実数値をとる と仮定しよう。 D+ I D-
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D+の点Z=x+iyに対して、 f(x) = g(x)y) +i(y) とするとき、Dの点Zに対して、関数 W = f(豆) = g(x,y) - i 4 (x,y) (7) をつくると、ZED において、 = w 29 (x-y)-i (x)-y) ax 2x gw. = jy 一(-3)+2(2)-2) 24 2(21-g)+2(x,y) ax とは したがって, aw ∂xc ay そこで、 F(2) = が成り立つ。これは関数f()に関するコーシーリーマンの関係にほかならない。 f(x) (ZED+UI) f(z) (ZED-) とおけば、この関数はDにおいて連続となり,D+ と D-において正則となる。 F(Z)がDにおいて正則であることを確かめるために、座標軸に平行な辺を もつ方形abcdをDの中にとり、この方形のCに沿ってF(Z)を積分しよう。 CがDtまたはDに含まれるとき、 fc=0 a (8) となることはいうまでもない。 また図のように abel, Cdedt のときは,小さな正の数とをとり、abをそれぞれ a=atic, b' = bti& におきかえる。 f(x)は方形 abcd(の内部と岡)において一様連続であるから.
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ε→0のとき。 S[alibi cidial] - Sc であることはすぐにわかる。それゆえ、この場合にも (8) は成り立つ。 codeIi abED- のときも同様である。 さらに、 a.beD, CodeD+ の場合は、実軸によって方形 abcdを二つの方形に分割し、 それぞれの周に沿ってF(Z)を積分する。 a これらの積分を加えれば、やはり(8)が得られる。それゆえ、モレラの定理によって, F(Z)の正則性が証明される。 この結果は、シュワルツの鏡像の原理とよばれる。ここでいう"鏡像”とは、 実軸に関する対称変換、あるいはそれによる像を意味する。 上記の推論からわかるように、平面上の領域Dは円板でなくともよい。 実軸(x軸)に関して対称な領域をDとし,Dとx軸との交わりをIとすれば、 同じ仮定の下に同じ結論が成り立つ。 拡大された正則関数 w = F(x) は条件 W = F(夏) を満たす;すなわち実軸に関する対称点を実軸に関する対称点にうつすものである。 回転数 Z平面の上に、原点を通らない閉じた道 C: Z=9(t), Létéß を描く、これを極形式 Ĉ: Z=2(t) eio(t), deteß C で表そう。Cが区分的に滑らかであるとすれば、2(日),日(大)は区分的に C級である。
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さて、 (2)=9(B) であるから()と母(B)の差は2匹の整数倍である。そこで整数 066)-062) 2兀 を考え、これを"Cの点Oに関する回転数”といい, n (C.O)で表す。 この数は積分によって計算することもできるすなわち Sá dz 1dz B = do Z zdt reio dt eigtireio. dt dt 1dr = ŕdt dtti do dt dt xx, n = [ log} ] ±²² + i [0] * f t=P t=p t= =1(0(0)-0(2)) であるから、 n(c, 0) = 1/144 √ √ 1x 2Ti が成り立つ。 さらに、閉じた道Cが点aを通らないとき,Cを z=atrexedst で表し、"caに関する回転数"n(ca))では 0(3)-02) n(ca)= 2匹 によって定義する。積分を使えば、これを次のように表すこともできる: 公式3- n(ca) = Sc dz z-a N(a,r) n(ca) aの関数と考えてみよう。近傍N(a)がCと交わらないとき」 laal < 1/2の範囲にa'をとれば、ZECに対して、
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a-a < Z-a z-a (z-a')(za) 上 la-al 2 .r が成り立つから」 {n(ca)-n(ca)|<亢/la-alx(cの長さ) である。 この不等式の右辺は, a→a のときに近づくから、 n(ca)→n(ca) となる。 このことから、n(ca)はaの数として連続であることがわかる。 ところで,n(ca)のとる値は整数だけであるから、Cと交わらない領域において, n(c,a)は一定の値を保つ。 領域の保存 関数 W = f(z) はN(o,R)において正則であるとし、Z=0においてた位の0点をもつとすれば、 f(x) = zkg(z) 9(0)70 となるような正則関数g(x)が存在する。 ここで、十分小さい関近傍刀(0)をとり、(って)ではg(エ)キロとしよう。 f(x)=hzfg(z)+zkg'(z) であるから、 f(z) f(x). ++ gz) g() となる。 右辺の第2項はT(0))において正則であるから、 f(x) .dz. = k 2ri Jp1= f (2) が成り立つ。 )を含む。
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を描こう。このとき dw w w この等式の幾何学的な意味を考えるために,W平面の上に、図の像 F: w=f(reit),一元≦尤≦兀 dt dt To f'(x) dz dt = f(x) dz 1-x f(z) dt f(x) である。 であるから、 f(z) 2ti J=rf(x) d=n(F.0)=k である。 それゆえ、平面の上にと交わらない近傍(o,P)をとれば」 Wo∈N(O,P)のとき、n(F,wo)=h が成り立つ。すなわち」 dw 2πi w-wo 2万人 S f'(x) dz (9) 1121= f(x) - Wo もれである。 いまっ ZEN(0)子)においてf(x)キル。と仮定すれば、定理2によって,(9)の右辺 は0となり、矛盾を生じる。 したがって, (0,子)の中には、 どのところ f(z)=wo となる点品が存在する。 いいかえると, w=f(z)によるM(0)み)の像は、近傍N(O,P)を含む。 領域Dにおいて正則な関数 w = f(x) (10) が実数関数でないときっ b = f(a) (a∈D) としよう。この場合も Z=Z-a, W=w-b とおき,
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正則関数 W=f(z+a) -b に上記の結果を適用すれば、次のことがわかる 点bの近傍N (b,P)を十分小さくとれば、 (10) によるDの像 f(D) = {w=f(x)/ZED} は N(b,P)を含む。 このことは,f(D) が開集合であることを示している。さらに,f(D)の2点WWg がf(D)内の道で結ばれることはすぐにわかるから,f(D)は領域である。 すなわち : 実理10- 定数でない正則関数によって、領域は領域にうつされる。 またこのとき、領域f(D)の点w=f(Z)から原点までの距離1f(2)|には 最大値がない。それゆえ、 実理11(最大値の原理) w=f(2) 領域Dにおいて正則な関数f(z)が定数でないとき, 1f(x)はDにおいて最大値はとらない。 w=0 有界な領域Dの境界をCとすれば、DUCは有界な閉集合 である。 それゆえ、f(x)がDUCにおいて連続ならば、f(x)はDUCのどこか で最大値に到達する。 さらに、定数でないf(z)がDにおいて正則ならば、1f() はCの上で最大値をとる。 定理12(シュワルツの補助定理) N(OR)において正則な関数f(x)の絶対値が条件 1f(8) 1≦M を満たすとき,f(0) = 0 ならば、 である。また、この式の等号がN(OR)の一点Zキロで成り立つならば f(x) = az, lal = 1 M
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[明] N(0,R)でf(z)は f(x)=xg(x) と書かれg(B)もN(0)R) において正則である。 ここで任意の正の数 r<Rをとれば、円周 図=r の上で、 1g(1 f(x) = Z M である。したがって、N(O)においても M 1g(z)|≦ J (13) さらにはRにいくらでも近くとれるから、N(O,R)において 1g(x)|≦ M R (11) したがって が成り立つ。 また,Zキロにおいて、 18(8)|≦1 18(3)1=11261 M が成り立つならば、 1g() == 18(8)1=炭 M (12) である。 (11)と(12) から, g(x)は定数aに等しく、121=1である。 局所的な逆関数 関数 w = f(x) が、Z=xotiyoの近くで正則であって、 f'(x) = 0 と仮定する。このとき、いつものように とけば z=xctiy , w = ut i v
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二つの実数 u=u (xy) (13) ひこ .D(X,Y) が得られる。 (13)の 関数行列式を計算すると、 gu gu ax = ()+(税) 1502 = 18(12 JV 20 ax ay であるから、この値は(エノyo)の近くで正となる。 それゆえ、陰関数の存在定理により、Z=x+iyの変域をZ=Xo+iyoの 十分小さな近傍 N(Z) に制限すれば、N(Z)からW平面への写像 (x, y) (u, v) は1対1となり、逆写像もまたい級である。 また、w=f() による N(Z)の像を△とすれば、実理10によりAはW平面の 領域となる。 領域△で定義された(局所的な)f(z)の逆関数 Z=ft(w), wea akmをCとすれば、 は正則である。実際、 15 W, WHAWEA, AW #0 としっ AZ = ft (w+sw) - ft (w) とおけば、イキロであるから、 の正の 1 (14) に対して SW AW AZ ここで,AW→0とすれば4Z→0であるから,(H)の右辺は収束し 28 = dw dw という公式が得られる。
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要約すれば、N(Z)に制限された正則関数 w = f(x) ZEN(Z) は正則な逆関数をもつ。 正則関数列 閉近傍N(a))において正則な関数の列 fn (7) (n=0 1,2,.....) が、ここで一様収束するならば、極限の関数f(z)は連続である。 そればかりでなく,N(ar)の内部にジョルダンの道Cを任意を描けば、 Sc fr (z) dz →Sc f() dz (n> too) Seth(z)dz Sefdz (η→+00) である。 ここで正則性の条件Eに注意すれば、 Sef(x)dx = 0 = 0 (N= 0, 1, 2,...) したがって、 Scfdz=0 が成り立ち、f(冬)はN(a))において正則である。 次に,N(a) 号)の中に点をとり、円周15-a|=rをCとすれば、 実理6により、 fh(x)= 2Ri Sc (3-2)² fn(5) よろ f() f(3) = ds 2 (3-Z)2 が成り立つ。 ところで,f(ろ)は円周Cの上でf($)に一様収束するから、任意の正の数を に対して、十分大きなれをとるとき、任意のと任意のSECに対して、 | fn(3) -f(3)|<ε が成り立つ。したがって, fr (5) - f($) | fr' (8) - f'()| 2匹 (5-8)2 £5
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25 ≤ 12/13 · ( 1217 ) ² ε × 2πr = E 委 となり、f(x)はN(a)/)においてf'(x)に一様収束することがわかる。 以上のことから、次の定理が得られる。 定理13 領域Dにおいて正則な関数の列fn(Z) が関数f(z)に広義一様収束すれば、 f(z)もDにおいて正則であり、fn'(x)はf'(z)に広義一様収束する。 同じことを、関数項級数についていいなおしておこう: - 実理13 領域Dにおいて正則な関数の列fn(z)が与えられたとき、級数 +00 Σfn (z) N=O がDにおいて広義一様収束するならば、この級数の和もDにおいて正則で ある。また頃ごとに微分する公式 d 8+ f(x)=f(x) n=o 7=0 .dz が成り立ち、この式の右辺もまた一様収束する。
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