必解 148. <原子核>
原子核の性質に関連する次の問いに答えよ。
質量数 A,原子番号Zの不安定な原子核Xが原子核Yにα崩壊した。 初め原子核Xは静止
していた。原子核 X, Y, α 粒子の質量をそれぞれ Mo, M, m とする。 ただし, Mo> Mi+m
である。また,真空中の光の速さをcとせよ。
(1) このα崩壊で発生する運動エネルギーを求めよ。
(2) α粒子の運動エネルギーを求めよ。
(3)α崩壊でつくられる運動エネルギーKのα粒子を金箔 (Au) に大量に当てたところ,α
粒子の大部分は金箔を素通りして直進したが、 ごく一部は Au 原子核に散乱された。α粒
子は Au 原子核に比べ十分に軽く, Au原子核はα粒子を散乱するときに動かないものとす
る。α 粒子と Au 原子核が最も近づいたときの距離を求めよ。 ただし,電気素量を e, 静
電気力に関するクーロンの法則の定数をん とせよ。 また, 初めα 粒子は Au 原子核から十
分に離れていたので, そのときの無限遠点を基準にした静電気力による位置エネルギーは
0 とみなすものとする。
天然の放射性元素ウラン 288U, ウラン23Uは放射性崩壊する。
(4) 292U 原子核がn回のα崩壊とん回のβ崩壊を経て, ラジウム Ra が生じた。 n とんを求
めよ。
(5)23Uの半減期を 7.5×106 年, 2Uの半減期を4.5 × 10 年とする。 現在, 地上における
28Uと282Uの天然の存在比は1:140 である。 4.5×10 年前の存在比を求めよ。
(6)292U 原子核1個が遅い中性子との衝突により核分裂するとき, 2.0×10℃eVのエネルギ
ーを放出するものとする。 毎秒1.1×10-7kgの2U が核分裂するとき, 1秒間に放出され
るエネルギーをJ (ジュール)単位で求めよ。 ただし, 電気素量 e=1.6×10-19C, アボガド
[19 大阪市大〕
ロ定数 NA=6.0×1023/mol, 28Uの1mol当たりの質量を235g とする。