I
随想 次の文章を読んで、下の問い
ある年の四月の下旬、そのころ、仕事場が代々木公園近くにあっ
たので、仕事の手を休めて、 代々木公園に散歩に出た。この公園
は別に桜の名所というわけではない。 A 若い人たちがサイク
リングをやる場所だと思っていた。 深い森のなかに、桜の木が点
在していた。桜がいろいろな感情をもって私にせまってくるのが
感じられた。 11 外形は何の変哲もない場所だが、そこにたたず
んでいると、えもいわれぬ悦びがこみあげてくる。 そのよう
な場所はめったにあるものではない。私はここへくると、ベンチ
に腰をおろして一時間ぐらい、桜吹雪が風にのって、たえず舞い
おりてくるのを眺めていたものだ。 地味な、おだやかな時の流れ
だが、そこには深みがある。 ③ それは、心惹かれるものであれ
ばあるほど、そういう感情になる。 人生と桜とが、かほどに一致
しているように思われるのは、そのはかなさの連想の故であろう
か。
こころ ひ
3
えんどうしゅうさく
(遠藤周作『最後の花時計』)
ゆえ
問1
問2
問3
問4
F
(
G
か
以