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°262.〈二酸化炭素水溶液の電離平衡と鍾乳洞〉 思考
鍾乳洞は,炭酸カルシウム CaCO3を主成分とする石灰岩が二酸化炭素CO2 を含む地
しょうにゅうどう
どうくつ
下水に溶かされて洞窟になったものであり, その過程は次の反応で説明できる。
ア +2 イ
CaCO3 (固) + CO2 + H2O~
このことを確認するために, 透明の反応容器内で生石灰 CaO 5.6×102g を純水 1.0L
(1)
ase
に溶解し, この溶液に不活性ガス (貴ガス) とCO2 の混合ガスを吹き込んで、 沈殿の生
成と溶解の様子を観察した。 その結果, 混合ガスを吹き込むと溶液が白濁するが, CO2
の分圧(Pco.) が一定の値以上になると白濁した溶液が再び透明になることを確認した。
沈殿の完全溶解に必要なPco2 の値は,次のようにして推定することができる。 CO2
は水に溶けると H2CO3 となるが, この H2CO3 の濃度は Pco, に比例し, その比例定数は
3.2×10-7 mol/(L・Pa) であることが知られている。 また, 溶液中では次の反応が起こる
こともわかっている。
H2CO3 ←
HCO3
CaCO3(固)
Ca2+ + CO32-
K4=4.0×10-(mol/L2)
ここで, K2, Ks はそれぞれ反応 ②,③の平衡定数, K4はCaCO3 の飽和溶液における陰
陽両イオンのモル濃度の積(K〟= [Ca²+][CO3^-]) であり,一定の温度でそれぞれ一定の
値を示す。これらのことを考慮すると,まず, H2CO3, HCO3", CO3の濃度は Pco. と
[H+] を用いてそれぞれ次のように表される。
[H2CO3]=3.2×10-7 × Pco (mol/L)
H+ + HCO3-
H+ + CO32-
[HCO3-]=[A ×
PCO₂ (23/
[H+]
(mol/L) [HA]]
303 Nom
K2=5.0×10-7 (mol/L)
K3=5.0×10-" (mol/L)
Pcoz
[CO3^-]=B x 10 (mol/L)
[H+]2
(2)
(3
6
次に,これらの反応が中性付近の水溶液中で起こっているものとすれば,この水溶液中
に存在するおもな陰イオンはウであり, また陽イオンはエであるから,それぞ
れの電荷を考慮すると次の関係式が近似的に成立する。
10
(8)
[オ]]=2[カ]
mayo
一方、上の実験において CaCO3 が完全に溶解するときは Ki= [Ca²+][CO3^-] の関係
にもとづいて次の式が得られる。
[CO3²] ≤ C (mol/L)
OH
したがって, これらの式から Pco の値を求めると, PcoD (Pa) となる。 なお、